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ジャパン・ブルーと呼ばれた藍の色
DESIGN BY KARAKUBUY | 2021-2022AW COLLECTION
INTRODUCTION
「ジャパン・ブルー」
ここに1枚の絵があります。誰もが知っている浮世絵の連作、「東海道五十三次」の品川宿です。日の出の空とともに道には大名行列が歩き、構図の左半分に穏やかな海の風景が描かれています。この海を染める藍色のグラデーションがとても印象的で、絵全体にしっとり豊かな情緒をもたらしています。
作者は江戸時代後期の浮世絵師を代表する歌川広重。この時代に描かれた浮世絵は海を渡り、ゴッホやモネなどヨーロッパの画家たちに大きな影響を与えました。なかでも浮世絵に頻繁に使われた藍色はよほど印象的だったらしく、日本を象徴する色あいとして「ジャパン・ブルー」、あるいは「ヒロシゲ・ブルー」と呼ばれました。
その藍染めが広く庶民に親しまれるようになるのは江戸時代からです。この時代、木綿が普及し、その木綿によく染まることから藍染めも広がりました。型染めや絞り、絣など染色技法も発達し、仕事着やのれん、浴衣、ふろしきなど、やがて日本人の暮らしは藍色に染まっていったのです。